初めてのオオクワ採集(右も左も分からず)

平成8年12月のある日、私は初めて山梨県韮崎市を訪れた。
 この年の夏に、宮崎県の百貨店で開催されていた「オオクワガタ展」で幼虫をもらったことが引き金となり、子供の頃に罹っていたクワガタ病が再発してしまったのである。
 山梨でオオクワが採れるということを「月刊むし オオクワガタ特集号」で知り、いても立ってもいられなくなり、気づいたら山梨に向かっていた。
 同行者はその年の夏に近所の雑木林で知り合った高校一年生の少年で、何故か意気投合して採集しに行くことになったのだ。
 早朝に家を出発し、午前中には韮崎ICに到着した。
 どこに行ったら良いのか全く分からず、取り敢えず本で目にしたことのある穴山というところに行ってみた。
 穴山に着いて車を降り、初めて目にした台場クヌギは、想像していたものより数段迫力があった。「これが台場クヌギか……」何とも言えない感動があった。
 感慨にふけってばかりもいられないので、辺りを見回し、削れそうな木を探して少し鉈を入れてみた。生まれて初めての朽木採集である。
 まさに右も左も分からず、どんな朽木が採集に向いているのかも知らない状態で夕暮れ時まで歩き回ったが、適当な朽木を見つけられず、結局この日はコクワが数等採れただけで終わってしまった。
 しかしそれでも満足であった。私のオオクワ採集はこの日からスタートした。


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