「キュウシュウヒメオオクワガタ」のページ

 ヒメオオクワガタを意識し始めたのは、「検索入門クワガタムシ」という本で写真を見てからだったと思う。今でも私の興味の中心は「国産オオクワガタ」であるが、それ以来どことなく気になる存在として私の心の中にいた。
 桧枝岐で実際に採集をしてみたりしたが、特に興味を持つようになったのは宮崎県でキュウシュウヒメオオクワガタを採集してからである。
 本州とは違ったヒメオオを捕まえたとき、とても嬉しかったのを今でもはっきり覚えている。
 キュウシュウヒメオオの採集は、本州産と比べて難易度が高く、ある意味貴重なクワガタと言えるかもしれない。
 そこで本ページでは、比較的情報量の少ないキュウシュウヒメオオの情報を掲載して行きたいと思う。

 なお、私自身キュウシュウヒメオオに関する採集経験や知識が乏しいため、福岡県にお住まいのS.Kさんより多くのアドバイスをいただきました。この場を借りてお礼を申し上げます。

<更新情報>
◎2003年 4月26日「キュウシュウヒメオオクワガタの頁」をアップしました。
◎2003年 4月27日「宮崎産ヒメオオ」の画像を追加しました。
◎2003年 5月 8日
「キュウシュウヒメオオ」に関する今後の予定など にマッスル氏の採集結果を追加しました。
◎2003年 5月14日「今後の予定」を追加しました。

●「キュウシュウヒメオオクワガタ」とは? キュウシュウヒメオオクワガタ♂
 九州に生息するヒメオオクワガタ。植林の進んだ九州では、主に山頂付近に僅かに残されたブナ帯に細々と生息しており、個体数は少なく採集は難しい。
 本州産に比べてやや小さく、50ミリ以上の個体は少ない。
 また本州産と比べると光沢が少なく、両者を並べてみればその違いは一目瞭然である。
 九州各地のブナ帯に分布しておりしており、宮崎県・熊本県での採集も報告されているが、南限がどこかについてははっきり分っていない。
 ルッキングでの採集は特に難しく、採集される個体は材採集がほとんどのようである。
 近年ヒメオオクワガタの人気上昇とともに注目度が高まっている。

●「キュウシュウヒメオオ」マメ知識 宮崎県某所のヒメオオ生息地
 キュウシュウヒメオオクワガタの学名は「Dorcus montivagus adachii」となっており、報告者である足立氏の名前がつけられている。
 ポイントとしては、福岡県や大分県、熊本県の山が知られているが、タイプ標本が宮崎県産のものであることは、意外に知られていない。
 本種を求めて遠方からはるばる訪れる採集者もいるようだが、生息数自体が少ないうえに、本州とは樹層が異なることから、あまり良い結果を得られないケースも多いようである。
 かつて1箇所のルッキングで100頭以上を採集したという人もいるようだが、余程の好条件でない限り、こうしたケースは稀であろう。(数年後に同地を訪れたところ、1頭も採れなかったらしい。それほど難しいということだろうか?)
 生息地の中には保護区となっているところもあり、材採集をしていた人が警察に引き出されたという情報もある。また場所によっては網を持っているだけで注意を受ける場合もあることから、人目につく場所での採集は避けるなど、採集にあたっては細心の注意が必要である。

●採集のポイント
【採集難易度】
 採集の難易度を数値で表すのは難しいが、以前ある有名な採集家は「キュウシュウヒメオオの採集は、本州産の3倍難しい」と紹介していた。
 採集できる数が以前より更に少なくなった現在では、感覚的には本州産の10倍以上難しいという気がする。
 ルッキングでの採集、材採集ともに容易ではないが、数を採りたいのであれば、ルッキングより材採集の方が可能性は高いと思われる。

【採集エリア】
 九州各地のブナ帯で生息が確認されているようだが、鹿児島県での分布については今のところ聞かない。
 当然のことながらブナ帯ならどこにでもいるという訳ではなく、例えば福岡県と佐賀県の境に位置する背振山のように、いかにも生息していそうな山であっても、これまで採集記録が全く無い山もある。
 九州の山は東北地方の山とは比べ物にならないほど植林が進んでおり、標高の高い山であってもブナの残っている場所は、頂上付近のほんの僅かな場所であることが多い。
 採集に出かける際には、書籍等で植生分布まで調べた上でチャレンジすることをお勧めしたい。

【採集のコツ】
 採集に王道は無いかもしれないが、ちょっとしたコツや知っておいた方が良いことなどは、幾つかあると思う。
 採集のベテランに聞いたことを参考にして、簡単にまとめてみるので参考になれば幸いである、
@ルッキング採集
 本州ではヤナギ類を中心にルッキングをするケースが多いと思うが、その感覚でキュウシュウヒメオオ採集に取り組むと、恐らく面食らうことになるであろう。同じような環境がほとんど見当たらないのである。
 ノリウツギやイヌシデ等で採集されたという報告があるが、樹種を絞らず背丈の低い草花まで、全ての木を見るくらいの採集スタイルの方が好結果に繋がると思う。
A材採集
 キュウシュウヒメオオでは、ルッキングよりも材採集をする人が多いようであるが、これは雪深い本州の山と違い高山でも採集がしやすいということに加えて、ルッキングでの採集確率が低く、ある程度数の期待できる材採集にシフトしているためだと思われる。
 一般的に硬い材に入っているようだが、大木ではなく細い木に入っていることもあり、また倒木や立枯れの特定の部位(根部・地表部など)というよりも条件の良い所に集中して入っていることが多いようだ。

【採集にあたっての注意点】
 何事もやりすぎは禁物である。最近クワガタ誌で公開された熊本県のヒメオオポイントでは、チェーンソーで立枯れを切り倒して材採集をする人間が現れるなど、採集者のモラルが問われるケースも頻発している。
 当然のことながら昆虫採集に対しての風当たりは強くなっており、昆虫採集禁止などと言ったことにならないよう、人目につく場所での採集は避ける等の配慮が必要であろう。

●「キュウシュウヒメオオ」の採集風景

この中にキュウシュウヒメオオが写っている。(答えは写真下に掲載)
このヒメオオが当日採集した唯一の♂であった。(他に♀1頭)


一番太い枝の二股に分かれた少し上のところにいる。(画像中央やや左。横向きの細い枝のすぐ下)
画像が悪くはっきりしないが、目を凝らすと上から下りて来る“クワガタらしきもの”が見えると思う。
辺りは鬱蒼として光と影が交錯しており、同行者から「そこにいる」と言われてもしばらく分からなかった。

●標本
 左の画像は宮崎県産キュウシュウヒメオオクワガタの標本。(いずれも2000年8月の採集記で紹介したルッキング採集の個体)
(画像提供:r.matsuda氏)

 右の画像は、冒頭で紹介した福岡県のS.K氏の家で見せていただいたキュウシュウヒメオオクワガタの標本。熊本県産を中心に各地の標本が収められていた。
 

●「キュウシュウヒメオオ」情報
 キュウシュウヒメオオに関する情報を提供しているページを紹介

 【クワガタマッスル】
  ・2000.10.22熊本県採集記1(ヒメオオ他)
  ・2000.12.10熊本県採集記2(ヒメオオ他)
  ・2000.12.23熊本県採集記3(ヒメオオ他)
  ・2002.6.8キュウシュウヒメオオ採集行

  
 【STAG BEETLES】
  ・九州宮崎短期遠征(8/12-14)…下記と同じ日の採集記です。

 【オオクワ求めて三千里】
 
 ・ルッキングにて3頭ゲット(2000年8月)


●「キュウシュウヒメオオ」に関する今後の予定など
 hoshiの予定
 ・5月18日(日)に佐賀県で材採集を予定しています。今回はS.K氏が参加の予定 
 ・6月頃より8月頃まで福岡県でルッキング採集を予定

 クワガタマッスル氏の予定
 ・近日中に南九州で気合の入った採集を検討中のようです。乞うご期待!
 
→マッスルさんと仲間の方が4/28に熊本県でヒメオオ幼虫3頭を採集されました。



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