山形にてオオクワ♀ゲット!

 2002年8月12日の早朝、私はJR埼京線の車中にいた。
 虫友のタカ氏との3年ぶりの採集の待ち合わせ場所に向かうためである。
 今回は自身初の山形遠征であり、福岡からの移動距離は往復で約3000km、採集での移動を含めると4000km(千里)近くにも達する、まさにHPのタイトルに相応しい採集行なのである。
 向かう先は山形県の某所。もちろん灯火狙いであるが、このポイントは知る人ぞ知るポイントで、タカ氏がこれまで4回採集に赴き、仲間うちで合計20頭をゲットしているという、南会津顔負けの優良ポイントなのである。
 今回は自前灯火ではなく、街灯回りのみの採集であるが、これまでの実績から、採れないペア「hoshi-タカコンビ」のジンクスを打ち破る可能性を大いに秘めた、期待たっぷりの採集行である。
 さて話を戻そう。我々は9時30分に大宮駅で合流し、東北道岩槻ICから高速に乗ったが、お盆時期ということで所々に渋滞があり、現地に着いたのは午後5時近くであった。
 まずはポイントとなる街灯のチェックに向かうが、周りを取り囲む広葉樹の山々の迫力が凄い。
 ブナ・ミズナラを中心とした広葉樹が、四方八方に生い茂っている。
 桧枝岐に勝るとも劣らない大自然を目の当たりにして、「これなら採れるのでは…」と期待は更に膨らんでいった。
 山形でのゴールデンタイムは午後10時前後、スタートは8時頃にするのがいつものパターンのようだが、この日は天気が悪く、日暮れも早そうだったため、いつもよりやや早い7時半ごろから灯火回りをスタートさせた。
ブナ・ミズナラの原生林
 順次灯火を回るが、流石にまだ早いのか、クワガタの姿が見られない。数箇所を回ってコクワ1♀とノコギリ1♀を採ったところで次のポイントへ。
 ここはタカ氏が以前オオクワを採集しているところである。
 車の中から灯火の下を見ると、クワガタがひっくり返っているのが見える。「いますね、見てきましょう」私が車を降りて、クワガタに目をやると体が赤い。
 「ノコギリか」と思いながらひっくり返してみると背中にスジが。「こ、これは!」あわててタカ氏を呼び、思わずこうつぶやいてしまった。
 「これってオオクワですよね?」
 本日3頭目のクワガタ、しかも採集を開始してから僅か15分でオオクワをゲットしてしまったと言う意外な展開に、どうも実感が湧かない。しかし採れたのだ。まずはお決まりの写真撮影。
 山形のオオクワの濃さが、「hoshi-タカコンビ」の採れないジンクスを打ち破った瞬間である。
1頭目のオオクワ♀(37ミリ)
 「山形恐るべし! これなら何頭採れるのか!」などと話をしながら次々とポイントを回るが、流石にそう甘くは無かった。
 あっという間に2時間が過ぎ、ゴールデンタイム(10時)が近づいてきた。
 先ほどオオクワを採ったポイントへ3回目の見回り。今日採れているだけに入念に街灯の周囲をチェックするが、コクワの姿すら見つからない。とその時「hoshiさん!」とタカ氏が私を呼び寄せた。
 タカ氏が指差した先には、点刻のあるオオクワガタの♀の姿があった。本日2頭目の成果である。
 この成果に勇気づけられ、深夜まで灯火を回ったが、結局この日の成果は2頭だけであった。
 しかしこれまでの我々コンビの実績を考えると、この成果は大変なものである。 「流石は山形…」そう思わずにはいられなかった。
2頭目のオオクワ♀(34ミリ)
 翌日は別産地のものをということで新潟に向かったが、灯火に飛来するクワガタ自体が少なく、オオクワを採ることは出来なかったが、大満足の採集行であった。
 「また来て見たい…」私の心に強烈な印象を植えつけた、東北採集行はこれをもって終了した。
 末筆ながら、ポイントの案内及び採れたオオクワを快く譲ってくださったタカ氏に深く感謝申し上げたい。


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