東北地方にて久しぶりにオオクワをゲット!

 2005年7月30日、私はこの夏3回目の灯火採集に向かった。
 今回は虫友のmatsuda氏と二人での採集だが、前回(7月上旬)の採集の際には、灯火を点灯した直後に発電機にトラブルが起こり、比較的良い条件下にも関わらずボウズに終わってしまったため、そのリベンジ採集でもある。
 今回は月齢も良く、気温もかなり高い。オオクワガタの発生が遅れている感もあり、“今日あたりは多くの虫が一気に飛ぶのでは…”という大きな期待を抱いてのスタートである。
 到着した先は南東北の某所。
 ここはmatsuda氏の発見したポイントだが、人里離れた山奥にあり、人の気配は全く無い。
 四方八方をブナ・ミズナラの原始林で囲まれており、その雄大さに思わず圧倒される。
 matsuda氏は既にこのポイントで実績を出しているのだが、確かに素人の私が見ても“スゴイ”と思えるようなポイントだ。
 夕方になっても気温は下がらず蒸し暑い。このままの状況ならかなり期待が持てそうだ。
 私の中では“一日に3頭以上採れればタコ採れ”という勝手な思いがあり、今回はそれを果たしたいという思いで溢れていた。
 灯火をセットし、発電機の調子をチェックしてみたが、全く問題は無いようだ。
 今日はいつもの灯火の他に、簡易灯火を少し離れた場所にセットした。何しろ灯火を張れる場所なら、全て可能性がありそうな雰囲気なのだ。
見渡す限りブナ・ミズナラの原生林
 午後7時半過ぎに灯火を点灯したが、点灯直後から大量の羽虫が寄って来た。
 これは今年行った過去2回の状況とは全く違う。雪解けが遅かった今年は全ての虫の発生が遅れていたようで、それがここ数日の暑さで一気に爆発したようだ。
 しばらくするとクワガタもポツポツ飛来し始めた。
 大体最初に来るのはアカアシクワガタなのだが、この日もご多分に漏れず最初の1頭目はアカアシの♀であった。
 そうこうしているうちにクワガタはひっきりなしに飛来するようになった。とにかくどんどん飛んでくる感じだ。
 普通種であっても沢山採れるのはとても楽しい。
 クワガタの飛来が少し落ち着いたところで、別の場所にセットした簡易灯火に行ってみることにした。
 こちらにも沢山の虫が寄っており、クワガタもかなりいるようだ。
 チェックし始めて数分後、matsuda氏が私に握手を求めて来た。
 本日1頭目のオオクワガタを採集した瞬間である。
 
1頭目のオオクワ♀(35ミリ)、灯火のすぐそばに落ちていた
 再びメインの灯火セットに戻ってクワガタを拾い集める。
 それにしても羽蟻や蛾の集まり方が尋常ではない。おびただしい数の虫が灯火に集まっており、中心部にはクワガタがいても近寄ることをためらってしまう程である。
 雰囲気が伝わるかどうかは分からないが、あまりにすごい数なので思わずデジカメで撮影してみた。
 引き続きミヤマクワガタを中心に沢山のクワガタが飛来するが、メイン灯火にオオクワガタが来ない。
 もう優に100頭以上のクワガタが飛来していることを考えると、そろそろ来ても良さそうだ。
 灯火周辺のみならず、少し離れたところや周りの草むらをくまなく探すのだが、オオクワガタの姿は無い。
 「う〜ん、何故だろう」などと言いながらも、生き物が相手だけに、こればっかりはどうしようもない。
 クワガタの飛来には時間的なばらつきがあり、来るときには集中してくるが、来ないときにはポツンポツンとしか来なくなる。
 
灯火に集まったおびただしい数の虫達
 クワガタの飛来がやや落ち着いたことから、サブ灯火の2回目のチェックに向かうことにした。
 虫の飛来はこちらも落ち着いていたが、既に飛来したクワガタたちが灯火周辺に落ちている。
 サブポイントは下草が多く、うっかりしているとクワガタを踏んでしまう。一晩のうちで採集できるオオクワガタはせいぜい2〜3頭であり、1頭1頭を大事にしないと後悔することにもなりかねない。
 慎重に辺りを探しながら、私がmatsuda氏に話しかける。
 「さっきはこの辺りにクワガタが沢山落ちていたんですよね」そう話しながら指差した先に、1頭のクワガタがいた。
 紛れも無いオオクワガタ。2頭目は運良く私が発見することが出来た。
 体長42ミリとまずまずの大きさ。
 私の数少ない採集実績の中では当然のことながら過去最高のサイズだ。
 更にいないかと辺りをくまなく探してみたが、オオクワガタはこの1頭のみであった。
2頭目のオオクワ♀(42ミリ)

3頭目のオオクワ♀(30ミリ)

 12時を回り、クワガタの飛来も少なくなったところで、この日の採集は終了した。
 翌朝は6時半過ぎに起床し、灯火セットを解体していたその時、ポールについていたクワガタが地面に落ちた。
 それを拾い上げたmatsuda氏が「あ、オオクワ!」と声を上げた。見せてもらうと30ミリあるかないかの極小サイズだが、背中にはしっかりと筋が入っている。3頭目のオオクワガタである。
 思いがけない最後の1頭の採集により、今回の採集は見事な“タコ採れ”で幕を閉じた。


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