三千里「プチ採集記」


●2002年12月29日(宮崎県) 宮崎県某所のクヌギ林
 自分の中では恒例となった、正月休みを利用した宮崎県内のポイント回りに出かけてきた。
 目的は夏の樹液ポイントの下見と材割り採集である。
 宮崎県内のポイントを回っていつも思うことだが、北九州と比べてクヌギの大木が少ない。
 洞の空いた好条件のクヌギとなるとさらに少なく、宮崎でもクヌギでの採集例が一番多く聞かれるものの、あまりクヌギに拘りすぎないほうが好結果に繋がるのではないかと思う。
 本日回ったポイントは、自分の中ではオオクワ採集の可能性が高いと考えているポイントの一つである。
 樹液採集に向きそうなクヌギを何本か発見したが、手頃な材は無かった。しばらく歩き回ったところ、直径30センチほどのカワラのついた切り株を発見した。
 あまり期待をせずに割ってみたが、この木からコクワの成虫・幼虫数頭と不明の2齢幼虫1頭を採集した。

●2002年12月30日(宮崎県) 年末というのに…
 昨日に引き続き、家族を放ったらかしにして採集に出かけた。
 たまの休みになると、普段なかなか採集に行けないうっぷんが爆発してしまうのである。(当然のことながら家族の目は白い(^^;))
 本日のポイントは1991年7月に、地元の採集家によって大型の♀が採集された場所であるが、クヌギの幼木での採集であり、日中に採集されたことも含めて意外なポイントなのである。
 歩き回りながらふと耳をすますと、何やら虫の鳴き声がする。「まさか冬のこの時期に…」と思いながらも音のほうに近づくと、道路脇の側溝でキリギリスのような虫が鳴いていた。
いくら南国宮崎とはいえ、驚きである。しかし確かに暖かい。
 今日の気温は15℃近くになっているようだ。汗ばむほどの暖かさである。
 その後もいくつかポイントを回ってみたが、めぼしい材は無く、ほとんど何も採らずに本日の採集は終了した。

●2003年1月2日(宮崎県) 道の左右は鬱蒼と広がる照葉樹林帯
 いつもと趣向を変え、照葉樹林帯に行ってみることにした。
 自分自身鬱蒼とした照葉樹の中での採集経験は無かったのだが、県内の照葉樹林帯でもオオクワの採集例はあることから、興味があったのである。
 しかし実際に足を運んでみると、何が何だか分らない。湿気が多く薄暗い中で、どこをどう攻めたら良いのか見当もつかないのである。
 それでも歩き回っているうち、木材の切り出しのために木が伐採されて開けた場所に出くわした。
 ここで白枯れした切株を見つけ、削ってみたが出てきたのはコクワの幼虫と思われる2齢幼虫だけであった。
 この正月の宮崎での採集は本日が最後だが、やはり甘くは無かった。

●2003年1月13日(大分県) カワラのついたクヌギの太い切株
 初めて本腰を入れて大分へ採集に行くことになった。
 福岡からポイントまで2時間程度はかかることから、いつもよりかなり早い、午前7時30分に同行者のK氏宅に到着した。
 途中新しいポイントを探して、あちらこちら寄り道をしたため、予定よりもかなり遅れてポイントに到着した。
 訪れたポイントにはオオクワの好みそうな洞のあるクヌギや、カワラやニクウスバのついた立枯れが多く見受けられたことから、オオクワが採れたというのもうなずける場所であった。
 少し歩くと、道路から一歩入ったところにカワラのついた切株を発見した。
 しかもかなり太い!
 大いに期待して削っていったが、出てきたのは残念ながらコクワばかりであった。
 その後新規ポイントの開拓を試みたが、採れたのはヒラタとコクワのみで、目立った成果は無かった。

●2003年2月23日(佐賀県) 感じの良いクヌギを発見!
 仕事の大切な締切りを週明けに控えているのだが、どうにも煮詰まってしまい、家族とドライブがてら出かけることにした。
 家族にはドライブと言ってはいるものの、私の中ではあわよくば新しいポイントを見つけたいという、下心を持っての出発である。。
 本日向かったのは佐賀県の某所。ここは普段行っている筑後川流域からはかなり離れた、どちらかと言えば山寄りの地域である。
 車を走らせていると、脇道の奥にあるクヌギの木が目に入った。気になったので引き返して辺りを散策してみたが、感じの良いクヌギが棚田の畦木としてそこかしこに植えられていた。一本一本丹念に見てみたが、洞のある木もあり夏の樹液採集に期待が持てそうである。
 さらに辺りを探していると、カワラやニクウスバの付いた太い切株もあったが、全てが手つかずであった。ポイントとして全く知られていないところだけに、他の採集者は入っていないようだ。
 朝のモヤモヤとした気持ちとは一転、ウキウキした気分で家路についた。

●2003年3月2日(福岡県)
 2月の忙しさから開放され、どうにも採集に行きたくなり、採集の師匠であるK氏をお誘いして福岡方面に出かけてきた。
 久々の採集ということで、いつも以上にワクワクした気分で家を出発した。
 今回はK氏の仕事の都合で午前中のみの採集であり、効率よくポイントを回る必要があったのだが、まずは筑後川近くの住宅街を攻めてみることにした。
 ポイントに行って見ると、なるほど感じの良いエノキの倒木が転がっている。
 各々削ってみるが、出てくるのはコクワとヒラタばかり。「ここは駄目か…」そう思い始めた矢先に大型の幼虫が顔を出した。
 頭幅の大きさからコクワではない。一瞬「やった!」と思って覗き込んでみるが、これがまた微妙だ。恐らくヒラタの3齢幼虫であろう。
 時間も無いのでこの木を早々に諦め、別のポイントに向かった。
 福岡県内のポイントも簡単にオオクワにたどり着けるほどのキャパは無い。
 幾つかのポイントを回るも全く成果を挙げられないまま、刻一刻と時間は過ぎていったが、最後にK氏があるポイントに案内してくれた。
 案内してもらった場所には驚くようなエノキの立枯れがあった。
 もの凄い太さの立枯れで、樹皮は3メートル位の高さの所が自然にはがれており、中に食痕が見えている。どう見てもオオクワの幼虫の食痕である。
 この木を削ればオオクワが採集出来る可能性は高いが、この木には「削ったら警察に通報する」という貼り紙があり、ずっと手をつけられないでいるらしい。「まだまだ探せばこんな木が…」そんな思いでポイントを後にした。

●2003年3月9日(広島県) 広島県内某所の台木
 元部下の結婚式に参加するために、久しぶりに広島を訪れた。
 当初は新幹線で日帰りするつもりであったが、、折角行くならばということで、結局採集に行くことにしてしまった。
 今回の採集では広島在住のかっしー氏とご一緒させていただいたが、かっしー氏は採集歴は浅いものの、短期間でかなりの採集経験を積んでおり、採集センスのある凄腕の採集人であった。
 今回は私が広島で通っていたポイントにご案内したが、ここには台木が数多くあり、「いつの日かオオクワを捕まえてやろう」とずっと思い続けてきたポイントである。ポイントは今も健在であり、感じの良い立枯れも多くあったが、ヒラタが出ただけで、オオクワは今回もゲットできなかった。
 このポイントで採集をするのは、恐らく今回で本当に最後になるだろう。同行者のかっしー氏に「是非この場所で広島産オオクワを採集してほしい」という思いを告げて、この日の採集を終了した。今度こそ「さらば広島」

●2003年4月13日(長崎県) 現われたヒラタの3齢幼虫
 本日は長崎へ採集に行った。これまで九州各地で採集してきたが、ここ長崎が九州で唯一採集に行っていない土地であったため、採集に行ったという意味では「九州全県制覇」を果たしたことになる。
 今回は事前情報がなかったため、行き当たりばったりの採集行となった。
 クヌギの木を目標にして車を走らせたが、佐賀や福岡のようにオオクワが好みそうなクヌギの大木がなかなか見つからない。
 感じの良さそうな風景があると、車を降りて辺りを散策し、倒木や立枯れがあると削ってみたが、出てくる虫の数自体が少ない。
 しばらくして程よく朽ちたクヌギの切株を見つけた。鉈を入れてみるときれいに白枯れしており、期待が膨らんだ。
 一鉈入れたところで太い食痕が現われたが、どうやらコクワではなさそうだ。慎重に削って行き、ようやく幼虫が姿を現した。一瞬「オオクワか!?」と色めきたったが、残念ながらヒラタであった。
 それ以降はヒラタの成虫1ペアとコクワが数頭出たところで本日の採集は終了した。長崎も甘くはなかった。

●2003年4月29日(福岡県) この虫の名は?
 GWに入ったものの、思うように採集にも行けない日が続いていたが、とうとう我慢も限界が近くなって来た。
 ライフ氏に電話で連絡したところ、「いつでも良いですよ〜」という返事。それならと言うことで、早速採集に出かけることにした。
 前日は仕事で午前様になったため、早く起きることが出来ず、10時半頃に自宅を出発し、11時過ぎにライフ氏の自宅に到着した。
 キュウシュウヒメオオの採集にも行きたいが、もう今期の材割りも最後だろうからと言う話になり、オオクワの材割りに出かけることにした。
 幾つか材を割ってみるが、なかなか感じの良いものが無く、出てくる幼虫もコクワとヒラタばかりであった。
 これと言った成果の無いまま夕方近くになり、最後にライフ氏が少し前に「オオクワらしき食痕があるが、大変削りづらくて断念した」と話していた、サクラの立枯れを見に行くことにした。
 実際見たところ、なるほど削るのが難しい。中の空洞が朽ちているのだが入り口が狭く、しかも芯が邪魔で肝心の食痕が追えないのである。
 代わる代わる削って行ったが、しばらくするとポコッと穴があき、幼虫が姿を現した。木の枝を噛ませ、取り出してみたところ、これがまた微妙なクワガタであった。頭幅は約8mmとやや小さい♂で、頭色はオレンジ色。
 ライフ氏と何度も見てみるが、はっきり分らない。一応オオクワだろうという結論で持ち帰ったが、何が羽化するか興味深いところである。

●2003年5月18日(福岡県)
 福岡県の某山へキュウシュウヒメオオ採集に出かけた。
 朝10時に待合せ場所に集合し、いよいよ棲息地に向けてスタートだ。
 今回の参加者は4名だが、そのうち本格的なヒメオオの材割り経験があるのはS.K氏ただ一人と言う状況で、ポイントまでの車中でヒメオオ採集のポイントについて教えていただいた。
 ポイントに到着し、あたりを散策すると感じの良いブナの倒木がそこかしこにある。しばらく削ってみたが、ヒメオオの食痕が見つけられなかったため、さらに標高を上げることにした。
 山頂付近に到着し、ブナの大倒木を発見した。別の採集者が削った形跡があったが、その木から見事にS.K氏が♀の成虫を割出した。
 一同俄然やる気を出し、真剣モードで削って行ったが、結局この木から5頭ほどのヒメオオ幼虫を採集し、再び別のポイントへ向かった。
 次のポイントでは林道からかなり下ったところまで足を延ばしてみたが、感じの良い倒木があり、ヒメオオと思われる幼虫数頭を採集した。
 さらに採集を続けたが、高さ1.5メートルほどの切株から、運良く私が♂の成虫一頭を割出した。この切株は脱出口だらけで、あと数年早かったらタコ採れしていたかもしれない。
 さらにK氏、K.K氏がそれぞれ♀の成虫1頭ずつを採集した。
 ヒメオオらしき幼虫は20頭前後採集できたが、アカアシの可能性も無いとは言えず、羽化を待ってから報告したい。(詳細採集記はこちら


オオクワ求めて三千里−オオクワガタHP−トップへ